2017
02.06

吹き消された灯 ①/③

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S2227a.jpg [龍潭寺庭園]
 今年のNHKの大河ドラマは「おんな城主 直虎」です。珍しい女性を主人公とした、しかもあまり知られていない人物に焦点を当てたドラマと言うことで注目されています。
 その舞台となっているは井伊谷(いいのや)(浜名湖の北部)ですが、とりわけ直虎ゆかりの寺としてよく登場するのが龍潭寺(りょうたんじ)です。臨済宗妙心寺派の古刹で、関ヶ原の合戦の後、井伊家が彦根に藩替えになるまでその菩提寺であったことや小堀遠州(こぼりえんしゅう)作の美しい庭園があることでも知られる寺院です。
 ところで、この龍潭寺という寺名から、禅問答集『無門関』に登場するある僧侶のことを思い出しました。唐の時代、禅の高僧として名前の残る龍潭崇信(りょうたんそうしん)和尚のことです(ただし、お断りしておきますが、龍潭寺の寺名がこの龍潭和尚に由来するかどうかは定かではありません。また「りょうたん」ではなく「りゅうたん」と読むこともあるようです)。
 そこで龍潭和尚ですが、『無門関』の第28則に徳山(とくさん)禅師との間の面白いやり取りの中に出てきます。徳山禅師というのは、臨済宗の宗祖 臨済禅師と同時代に生きた禅僧で、禅界にあっては臨済禅師と双璧にあったとされる高僧です。徳山禅師がまだ若い学僧であった頃の話として伝わるものです。
 徳山禅師(以下、徳山とします)が、天下に聞こえた龍潭和尚をしたってようやく龍潭を訪ねることができたときのことである。
 龍潭和尚の部屋に入って、師から懇切な教えを聴いていた徳山は、ときの経つのをすっかり忘れていた。龍潭和尚が
「夜もだいぶ更けたようじゃ。そろそろ引き上げたらどうじゃ」
と言われたので、ていねいに別れを告げて、簾を上げて外へ出ると、外は既に真っ暗闇だった。
 しかたなく、龍潭和尚のところに戻ってきた徳山は、恐縮しながら
「暗くて道が分からないのですが」
と申し上げた。すると龍潭和尚が自ら紙燭(紙に油を染み込ませた物)に灯を灯して目の前に出された。
 
ところが徳山がそれを受け取ろうとすると、龍潭和尚がにわかにその紙燭の灯をフーッと吹き消してしまった。そのとたん、徳山は忽然として悟りを開いてしまった。
     
                                  (以下、②/③につづく)


54-5 丈山苑
 
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