2017
09.26

『菜根譚』に触れる ①/④

Category: 未分類
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 テレビの視聴(NHK Eテレ「心の時代」)を通して、『菜根譚(さいこんたん)』に触れる機会がありました。出演された多川俊英(たがわしゅんえい)氏(奈良・興福寺貫首)が同書を解説した番組の中でした。
 私事ではありますが、『菜根譚』については、10数年ほど前に、加藤咄堂(かとうとつどう)著「菜根譚を読む」を購読していたのですが、そのときはあまり共感的に受け止めることができず、一度読んだきりで本棚の片隅に追いやっていた一冊でした。恥ずかしながら、当時の私には、この書物の価値を見抜く力がなかったのだと思います。そんな経緯から今回、多川氏のお話を聞くことで、実に多くのことを学ぶことができ有意義でした。
 『菜根譚』は、今から約400年ほど前、中国の宋代に洪自誠(こうじせい)という人物が著した書物です。日本へは江戸時代の後期に刊行されたといいます。
 署名の『菜根譚』ですが、これには次のような意味があるようです。『菜根譚』の「菜」は野菜の葉、「根」は野菜の根を意味するものですが、この場合の野菜も大根や蕪など、粗末で淡泊なものが想定されているようです。ちなみに「譚」には、話という意味があるようですから、全体としては、大根や蕪などの葉や根といった粗末な食べ物に倣い、華やかさを避け、淡泊で質実な生き方をするための訓話ということになるのでしょうか。ちなみに『菜根譚』には、前編225話、後編134話、合計359話が収められているようです。
 その内容は、君子としての在り方、身の処し方を記したものとされます。しかし、君子といっても、決して高い身分の人ということではありません。古の中国では、道徳的に人間を比較するとき、君子と小人という言い方をしたようです。道徳的に値打ちの高い人が君子、つまり立派な人というわけです。
 したがって『菜根譚』は、日常生活の中で、私たちがどのような生き方をしていくことが道徳的に価値が高いかを著した書物ということができるかと思います。
 多川氏の解説の中で、私が特に興味を引かれたことがありました。それは『菜根譚』が東洋の思想を集約した聖典であるということでした。つまり、『菜根譚』は、儒教、道教、仏教の思想をベースにして編まれた書物であるということです。この点について、多川氏から次のような見解が示されました。
 ―儒教は、生きていく上で、人とのつきあいの仕方、社会の中での人間の在り方はどうあるべきかを教えたものであり、道教は、大宇宙、大自然の中で人間はどうあるべきかを教えたものである。そして、仏教は、大自然の中、大宇宙の中で社会を構成している人間の心はどうあるべきかを教えたものだが、それらのエッセンスを同時に学べるのが『菜根譚』である―。
 たいへん興味深く、明快な見識だと受け止めました。(以下、②/④につづく)
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