2017
05.25

「恥ずかしい話」の考察 ④/④

Category: 未分類


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 一人のきこりが山に入って、あちらこちらで木を切っていると、そこへ見馴れない動物が出てきました。珍しい動物だと思ったきこりは、その動物に声をかけました。
「お前はいったい何というものだ?」
すると動物は次のように答えました。
「私は、サトリというものだ。私は人間の考えていることが手に取るように分かるという特技がある。」
それを聞いたきこりは、にわかに色めき立ちました。そして、サトリを生け捕りにして売り払い、大金を得ようと考え始めました。するとサトリは言いました。
「お前は、私を捕らえて売り飛ばそうとしているな。」
自分の考えていることを見透かされたきこりはとても驚きました。サトリの言うことは正しかったのです。
 そこできこりは、忘れたようなふりをして後ろに回り、気づかれる前に捕らえてやろう考えました。するとサトリは言いました。
「お前は、忘れたようなふりをして、後ろから私を捕まえようとしているな。そうはいかないぞ。」
 それを聞いたきこりはだんだん腹が立ってきました。するとサトリは言いました。
「お前は、私が捕まえられなくて怒っているな。」
 きこりはすっかり困ってしまいました。これではどんなことを考えてもサトリに覚られてしまい、捕まえることができません。
 そこで、きこりはサトリを捕らえることを諦めることにしました。そして、再び斧を手に木を切り始めました。
 するとどうしたことでしょう。斧を振り上げた途端、斧の柄から刃が抜け、空中高く飛び上がったかと思うと、遠くからその様子を眺めていたサトリの頭に当たり、サトリは目を回してしまったのです。
 こうして、きこりはサトリを生け捕りにすることができました。

 この話を読者はどのように受けとめられるでしょうか。「得たいと思わないと決心したときにこそ得ることができる」というたいへん含蓄のある教示ではあるのですが、凡人にはこれがたいへん難しいのだと思うのです。やはり鍵になるのは「無心」に徹するということでしょうか。(〆)
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