2017
04.07

アドラーの心理学から⑤/⑤

Category: 未分類

 
 4
 アドラーは、他者への貢献感を持つことが自己受容につながると述べています。しかし、それは他者への揺るぎない信頼が前提になります。信頼とは無条件で他者を信じることです。性善説に立つことと言えるのかも知れません。ただ、そのことに高ハードルがあることは言うまでもありません。その点についてアドラーの真意はどこにあるのでしょう。
 テキストの冒頭で次のような言葉が紹介されていました。


 自分自身の幸福と人類の幸福のためにもっとも貢献するのは、「共同体感覚」である。それゆえに、人生の問題へのすべての答えはこの結びつきを考慮に入れなければならない。それはわれわれが他者と結びついて生きているということ、もし一人であれば滅びるであろうという事実に照らした答えでなければならない。


 アドラーの言う「他者と結びついて生きている、もし一人であれば滅びる…」という言葉が胸に迫ります。これは、仏教の世界観にも通底します。
 私たちは、相対差別の世界に生きています。しかし、同時に絶対平等の世界にも生きています。私たちはそのことにもっと目を向けなければならないのだと思います。アドラーがイメージしていたことと、仏教が説く「自他一如」という絶対的な真理に目覚めることとはほぼ重なるのではないでしょうか。
 アドラーは “人間は闘わないために何をすべきか”を深く考えたと言います。相対世界の中では、人間は闘うことを宿命づけられているとも言えます。しかし、だからこそ、それを認めた上で、闘わないために何をすべきかを考えなければならないのだと思います。そのときポイントとなるのが「他者と結びついて生きている、一人であれば滅びる…」という不変・不動の事実への気づきなのだと思うのです。
                                                   image.jpg

 以上、アドラー心理学と仏教思想との接点について私見を述べてきました。勝手な推測ではありますが、両者の間に接点が多いのは、アドラーが心理学者であると同時に、哲学者としての視座も有していたからではないかと思います。
  ただ、冒頭でもお断りしたように、アドラー心理学についての私自身の知見は、テレビテキストに記載された範囲内に留まるものです。また、今回取り上げた内容もその中のごく一部分のみです。
 テキストによれば、この他にもアドラーは、「あらゆる対人関係は、縦でなく横の関係であり、人と人とは対等であるとしたこと」「人間タイプで分類することを否定したこと」「ライフスタイル(世界、人生、自分についての意味づけ)を形成する際の決定要因が、本人の決断にあること」など、仏教思想に通じる興味深い考え方を示しています。その意味では、今回の内容がいかに短絡、浅薄で、不十分なものであるかはよく承知しています。どのような批評も批判も甘んじて受けるつもりです。
 ただ、近代において科学として成立してきた心理学と約2500年前に起源をもつ仏教の思想との間に、幾つかの接点を見出すことができたことは、たいへん興味深く、大きな収穫でした。(〆)

55-8.jpg 
※クリックすると拡大して見られます。


スポンサーサイト

トラックバックURL
http://zitaichinyo.blog.fc2.com/tb.php/569-763b1892
トラックバック
コメント
管理者にだけ表示を許可する
 
back-to-top