2016
11.27

“いのち”の引っこし①/④

Category: 未分類
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 今回は、山川宗玄老師(岐阜県美濃加茂市 正眼寺住職)の著書『生きる』の中にあったエッセイをもとに学んでいきたいと思います。老師がある人から聞いた話として綴られた「犀の作る池」と題されたエッセイです。誌面の関係もあり、原文を再構成して掲載させていただきます。
 アフリカのサバンナ地帯は、1年のうち雨が降るのは2、3ヶ月だけです。この過酷な条件下に生息する動物の一つに犀がいます。陸上では象に次ぐ大きさを誇り、攻撃力も守備力も傑出している犀ですが、乾期には生存の危機に晒されることになります。まして寿命には勝てません。
 死期を悟った老犀は不思議な行動を始めます。独り群れから離れると、地面に寝転がり、しきりに身を動かして窪みをつくるのです。そして窪みがある程度の大きさになると別の場所に移動し、再び窪みをつくります。老犀はそれを何度も繰り返します。
 この不思議な行動は何を意味するのでしょうか。それは雨期になると分かります。赤茶けた大地には緑が発生すると、赤や黄や白の色とりどりの花が咲き乱れ、そこには蝶や無数の虫たちが大乱舞を始めます。
 ところがその状態も2ヶ月ほどで終わりを迎えます。大地は急速に干上がり、再び乾燥期がやってきます。しかしよく見ると、あちらこちらの窪みに水が溜まり、小さな池ができています。老犀がつくった池です。そこからしばらくの間、この池から生命あるものたちに水が供給されます。
 この池もやがては涸れてしまいますが、わずかになった水を愛おしむように若い犀や他の動物、水鳥などが集まり、つかの間のオアシスになります。
 死を前にした老犀は自分では一滴の水も一本の水草も食べようとせず、そこで楽しむ仲間の様子を温かい眼差しで見つめながら、静かに自分の生命の消え入るのを待ちます。
 さて、読者はこの話をどのように受けとめられるでしょうか。(以下、②/④につづく)
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※クリックすると拡大して見られます。
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