2016
02.05

「天心が伝えようとしたこと」④/④

Category: 未分類
4_20150222170318aae.jpg [茶の本]
 以上、「不完全性の美学」「相対性の認識」という、「茶の本」に見える天心の二つの特徴的な思想に絞って話を進めてきましたが、それは天心の思想の全体からすればごく一部分に過ぎません。また、それについての私の論述も不十分であることはよく承知しています。
 しかし、テキストを通じてではありますが、この本の中で天心が論じている思想の卓抜さと先見性には、たいへん感じ入るものがありました。また、「茶の本」が刊行された当時、日本には西洋の思想・文化が一挙に押し寄せていました。それに抗うように、茶の湯を日本の文化・思想の到達点と位置づけ、世界に向けて発信しようとした天心の気骨には、脱帽させられる思いでした。
 テキストの解説文の中に、次のような一文がありました。
 天心の特徴の一つにあげられていたのが、外から日本を見る目、日本と西洋とを相対的に見る広い視点、また時間的、歴史的な射程の長い視点から見れば、日本の伝統文化というのは、評価されるべきものであり、むしろ日本の伝統文化には西洋の近代文化を超えるようなものがあるという確信があったことだ。
 天心が活躍した時期は、廃仏毀釈
(はいぶつきしゃく)運動にも象徴されるように、仏教排斥の動きが盛んとなり、各地で寺院・仏像・仏具・仏典の破壊や僧侶の還俗強制などが起きた時代もありました。人心は、西洋へ西洋へと大きく傾き、旧来の日本文化から脱皮しようとす風潮が定着しつつありました。このため、当時、天心の思想は理解されず、孤立化という運命をたどることになりました。
 それだけに、茶の湯に見られる日本の伝統文化の優位性を確信し、時の風潮におもねることなく生涯を貫いた天心の生き方には、心揺さぶられると同時に尊崇の念が湧いてきます。
  近年、外国人観光客の増加にも象徴されるように、日本の内外で日本の伝統文化を見直す動きが活発化しています。たいへん嬉しいことです。
 茶の湯が日本の文化・思想の到達点であり、それが老荘思想や禅の思想を土台としたものであるとした天心の思想に興味をひかれて購読したテキスト本ではありましたが、天心の卓越した文化論に触れることができ、たいへん勉強になりました。
 読者の中には、すでに「茶の本」を読まれた方もあるかと思います。私はまだ、原文を読んでいませんが、興味をもたれた方は、ぜひ原文に当たられてはいかがでしょうか。また、別な読み方ができるかと思います。(〆)

43-8 
※クリックすると拡大して見られます。
次回は「氷の島とねこ」を掲載(4回配信)します。ぜひご訪問ください。
スポンサーサイト

トラックバックURL
http://zitaichinyo.blog.fc2.com/tb.php/456-698e5d1e
トラックバック
コメント
管理者にだけ表示を許可する
 
back-to-top