2015
01.09

「親死子死孫死」③/③

Category: 未分類

20111006stevejobs08.jpg 

 そこで、思い出すのは、スティーブ・ジョブズ氏のことです。今さら言うまでもないことですが、ジョブズ氏は、ITの革新者として世界的に名の知られたアップル社創設者です。2011年、56歳の若さで逝去しています。
 ご存じの読者もあるかと思いますが、ジョブズ氏は禅に深く傾倒していました。若いときに禅の思想に触れ、毎日を“人生最後の日”と思って生きることの大切さを痛感したといいます。また、来日時には、曹洞宗の大本山である永平寺を訪れ、出家を申し出たようです。当時の国際布教師に止められ、思いとどまったとのことですが、結婚式は仏式で行ったと聞きます。
 ジョブズ氏は、その人生を通じて「もし今日が人生最後の日だとしたら、私は今日これからやろうとしていることを本当にやるだろうか」と自問を続けたといいます。 また、2005年には、スタンフォード大学の卒業スピーチで、次のように語りました。一部、紹介します。


 自分が間もなく死ぬことを覚えておくことは人生の重要な決断を助けてくれる。(それは)私が知る限り最も重要な道具だ。なぜならほとんどすべてのこと、つまり他の人からの期待やあらゆる種類のプライド、恥や失敗に対するいろいろな恐れ、これらのことは死を前にして消えてしまい、真に重要なことだけが残るからだ。いつかは死ぬということを覚えておくことは、そのような落とし穴を避けるための私が知る最前の方法である。(それをなすことによって)何かを失うと考えてしまう落とし穴を。
                (福島伸悦著『随流古』より)


 禅の思想を貫く「本来無一物(ほんらいむいちもつ)」という基本理念をもとに持論を語ったものと受け止められます。私たちの精神も肉体も、全ては借り物であるという本源的な自覚です。
 いつかは死ぬということを意識して日々の生活をすることで、ものの見方、考え方が落ち着き、心が調えられて、本当に大切なものが見えてくるということでしょう。それが、より充実した生き方につながるということなのだと思います。ジョブズ氏の深い境地には、憧憬の念を禁じ得ません。

 仙厓禅師の“へそ曲がり”精神に倣うなら、一年の計ともなる時期だからこそ、死の問題に正面から向き合うことに意義があるということになるのでしょうか。新年を迎えるにあたり、ふだんの生活を見つめ直し、襟を正し、一日一日を悔いなく生きることを改めて肝に銘じたいものだと思います。(〆)
 
× 
※クリックすると拡大して見られます。

スポンサーサイト

トラックバックURL
http://zitaichinyo.blog.fc2.com/tb.php/346-3370b879
トラックバック
コメント
管理者にだけ表示を許可する
 
back-to-top